学びの効果は、説明の上手さではなく「自分でやってみて失敗する機会」の設計で決まる・・・。大学や高校・企業などで簿記・会計の指導を続けるなかで、私はそう考えるようになりました。
現在は、自社開発のビジネスゲームを使った教育に取り組んでおり、今回は当社で行っている、「先生が長々と解説をしない」という新しいスタイルの授業及び研修についての記事を書きたいと思います。

ある講演会で、アルバイトから社長になった方が、そう話されました。確かに、「社長は何をするのか?」を明確に教えてくれる学校はありませんよね?
商業教育は本来「実学」のはずです。しかし現場では、簿記検定の合格が目的になり、問題集をいかに解かせるかが中心になりがちです。その中で、私自身、高校・専門学校・大学で教えるなかで旧来のやり方に疑問を抱き、「もっと楽しく学べる方法があるはずだ」と考えるようになりました。
私が経営を講釈しても、聞く側は「ふーん」で終わってしまいます。聞いただけでは「できる」ようにならないからです。しかも、流暢な説明ほど「分かったつもり」(流暢性の錯覚)を生みます。
ハーバード大学の物理の授業での研究(Deslauriers et al., 2019)では、能動的な授業の学生のほうが実際には多く学んだのに、本人の「学んだ実感」は受け身の講義より低かったと報告されています。大学の理工系科目225件を分析したメタ分析(Freeman et al., 2014)でも、従来型の講義では不合格になる確率が約1.5倍でした。
そこで私たちは、「やりながら学ぶ」「教え合いながら学ぶ」「失敗して学ぶ」シミュレーター法に切り替えました。

具体的にどんなことをするのか?ちょっとここでご紹介いたします。
①概要を簡潔に説明する
②「では、やってみましょう」と促す
③失敗してもいいので、とにかくやってみる。
講義や研修において、私どもは、話すのを8分以上続けません。
私たちは「教師でも講師でもありません!」と伝えています。役割は、受講者が自分で疑問を持ち、考え、教え合えるよう、上手にファシリテートすることです。月1回のファシリテーター勉強会でも、「あなたが主役ではありません。主役は各チームのメンバーです」と繰り返し伝えています。

「シミュレーター」とか「ビジネスゲーム」と聞くと、なんか難しそうに感じますよね?
でも、私たちのゲームでは、CEO・CFO・PSMに役割分担し、チームで会社を経営します。サイコロ運や戦略眼、チームをまとめる力でも主役になれるので、鬼のような計算能力は必要ありません。各人が各場面で主役になれるよう運用するのも、ファシリテーターの仕事です。

ただやるだけでは、効果は高まりません。パイロット訓練で積み重ねられた検証が、そのことを示しています。
1992年の米海軍研究機関のメタ分析では、実機だけの訓練より、シミュレーターと実機を組み合わせた訓練のほうが良い結果でした。米国の航空専門大学の追跡研究では、シミュレーター中心の集中訓練を受けた13人が、免許取得までの平均飛行時間が約46時間で、従来型の約76時間より有意に短かったと報告されています。一方で、高精度な再現度は必須ではなく、大切なのは「どんな場面を体験させ、どう振り返らせるか」という設計です。操作が難しすぎないことも条件とされています。
そこで私たちは、ゲームをして終わりにせず、次の3つの振り返りまで含めて設計しています。
①あえて「失敗」を体験する
②「なぜその判断をしたのか」を記録をもとに見直す
③次の改善策を自分の言葉にする

AIに聞けば出てくる知識の暗記や、問題の解き方の勉強だけでは、AI時代に対応できません。私たちは10年前から、やりながら学ぶ方法を提唱してきました。
シミュレーションゲームの効果を分析したメタ分析(Sitzmann, 2011)でも、シミュレーションゲームで学んだ人は、比較グループより自己効力感が20%、手続き的知識が14%高かったとされています。

九州財務局・福岡財務局の職員研修、熊本学園大学商学部・会計大学院、熊本市立総合ビジネス専門学校、専修大学熊本玉名高校などで導入いただいています。学校・研修向けの体験会も承っておりますので、お気軽にお問い合わせください。
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