前回の記事の続きです。
前回の取引例を前提に、左右の同時記録である
「複式記入」と、3つの勘定で記録をする
「単式簿記」で記録・計算してみたいと思います。
⑴自己資金100をお店に拠出した。
上記の記録では、まず取引の原因と結果という
観点から、取引を①資産、②負債、③純資産の
3つに分類します。
そのうえで、増加したのか、減少したのか
ということで、会計帳簿の左右に分け、
左側と右側に上記の分類された①資産、②負債、
③純資産を振り分けます。
このような振り分けることによる記録の方法
を「仕訳」といいます。
上記の例では、資産の増加は左側に、純資産の増加
は右側に振り分けられています。
なお、この振り分けのルールは「貸借対照表」の
フォームと同じ形となっています。
記録された3つの要素の金額を集計すれば
貸借対照表を作ることができますが、上記の
貸借対照表では、右側の純資産に「資本金100」
とあり、元手が100円あるということを
表し、
さらに、左側の資産には「現金100」と
あるので、元手の資本金100が「現金」の形
で保有されているということを意味します。
⑵卵を購入し、100円支払った。
また、貸借対照表は左右の合計額が一致する
ということを確かめてください(貸借平均の原理)。
それでは、さらに次の取引をみてみましょう。
上記の簿記による記録から、①資産・②負債・③純資産
の3つの要素の金額を集めてきて、次の決算書を作る
ことができます。
このように、簿記による「複式記入」ですと、
取引の「二面性」を記録していくため、
現金の収入記録以外にも、購入した卵が最終的に
どうなったのかということまで追跡記録できます。
上記の貸借対照表をみると、卵が50円分未消費
で残っていること、お客さんから入金により現金70円
があること、また、これらの取引により利益が20円
出たことが分かります。
しかし、この方法でもまだ問題があります。
それは、「利益」の中身が分からないことです。
貸借対照表を見てみると利益が20円と計算されて
います。これはお店開業時の純資産(自己資金)
100円と、営業後の純資産120円の差額として算定
されるわけですが、では卵焼きの売上高はいくら
なのか、コストはどれくらいかかっているのか、
といったことが純額で計算されているため分かり
ません。
そこで、この利益の内訳をわかるようにした
ものが「複式(二式)簿記」なのです。