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ルールを握る者がビジネスを支配する?!

スポーツのルール統一と会計のルール統一

2009年4月17日、シアトル・マリナーズのイチローが日米通算3086安打を達成し、日本プロ野球の安打記録を更新しました。

ここで、そもそも記録の日米通算が可能となっているのはなぜでしょうか?その理由は、日米で野球という競技のルールが統一されているからです。

この記録達成に沸いた1カ月前のワールドベースボールクラシックやオリンピック、ワールドカップのような国際試合が成立し得るのも、グローバルで競技ルールが統一されているからにほかならないのです。このようにグローバル化にはルールの統一が不可欠で、このルール統一が会計の世界でも起きています。

これが会計基準の世界的な統一化、IFRSが求められる背景なのです。一昔前のように投資家と経営者の関係が、一国に閉じていれば会計基準の統一が求められることはありませんでした。その国において適用される会計基準に基づき財務諸表を作成し、その国の投資家だけがその財務諸表を理解できればよかったからです。

ところが、インターネットの普及などにより、投資家と経営者が国境をまたいで活動するようになると、そうはいかなくなります。

経営者側からすれば、企業が資金調達を行なう国ごとに異なる会計基準に基づき財務諸表を作成するのはコストがかかりますし、投資家側からすれば、国ごとに異なる会計基準で作成された財務諸表を比較して投資するのはやはりコストも時間もかかります。

しかも、会計基準間で算出される利益がまったく異なるとしたら、その会計基準を理解に要するコストはさらに増加します。

例えば、三菱UFJフィナンシャル・グループの2008年3月期の連結最終損益は、日本基準では6366億円の黒字でしたが、米国基準では5424億円の赤字となりました。会計基準の相違により、利益が1兆円以上も異なってしまうのです。

すでに100以上の国が適用

皆さんは、エスペラント語をご存じでしょうか?

1887年に最初の文法書が発表されたエスペラント語は、全世界の人の第2言語となることを目指して開発された国際言語のことです。

文化的な背景を持って自然に発展してきた自然言語とは異なり、人為的に開発された人工言語に分類されます。システム開発に利用するJavaなどのプログラミング言語も、人工言語の一種です。

IFRSもこのエスペラント語と同じように、人為的に開発された会計基準なのです。元来、会計基準とは自然言語と同様に、各国それぞれの文化的な背景の中から慣習として発展してきたものです。

これに対しIFRSは、投資家の意思決定に有用な情報を提供するという財務諸表の目的に適合するように開発されました。

エスペラント語の話者は100万人程度と言われていますが、IFRSは100以上の国で適用が強制、あるいは許容されている会計基準なのです。

ただし、IFRSが世界的に適用されるまでには様々な紆余曲折がありました。

IFRSの誕生は、1973年にさかのぼります。

この年、主要国の会計士団体が参加するIASCが発足。IAS(国際会計基準)の開発がスタートしました。

ただし、開発作業は主要国の会計基準をベースに進められたため、主要国間で差異がある基準については代替的な処理を複数認めることとなりました。

このため、IASは「国際企業間の財務諸表の比較が困難である」という批判を受けることとなったのです。

その後、可能な限り代替処理を取り除く取り組みを通じて、IASの品質は向上。2001年に、IASC(国際会計基準委員会)から改組されたIASB(国際会計基準審議会)に基準開発が引き継がれました。

IFRS適用の世界的な広がりを決定付けたのは、2005年の欧州域内上場企業に対するIFRS強制適用です。IFRSは当初、IASCという各国へ会計基準の適用を強制する権限を持たない会計士団体により開発されたので、強制力を持った後ろ盾(規制当局)が必要でした。他方欧州としては、統合された市場において適用する統一会計基準が必要だったのです。

日本基準との違いは

では、現行の日本基準とIFRSの間には、どのような違いがあるののでしょうか?

まず、収益認識が異なります。日本では製品の出荷時に収益を計上する企業が多いのですが、IFRSは原則的に、取引先での検収時に収益を計上する検収基準での処理を求めます。また、物品販売と無料保証などのサービスを一体にして提供する取引については、IFRSではそれぞれを合理的に分割したうえで、物品の部分については販売時に収益計上し、サービス部分は保証期間にわたって収益を繰り延べることを求めています。

固定資産の償却の仕方にも差異があります。IFRSでは、取得原価を重要な構成部分に配分して個別に減価償却を行なうことを求めています。

例えば航空機であれば、機体部分とエンジン部分について、別個に償却計算しますし、さらに、償却期間は日本基準では税法で定められた耐用年数をそのまま用いるのが一般的ですが、IFRSでは企業がその資産の利用状況などを考慮して独自に見積もらなければいけないのです。

このようなIFRSですが、我が国の上場企業において適用する会社が増えてきています。

仮想通貨とブロックチェーンなどの技術が進めば、決済の国際化は一気に進みます。そのとき、企業会計、財務諸表の国際化はどうなるのか?いまから準備をしておく必要性があるようです。

なお、ビジネスゲームセミナーでは、海外の会計も理解できるように「簿記の原理」を理解していただくことを主眼においています。

どんなものも原理を理解しないと応用できません。

この点が、他の簿記学校とかビジネスセミナーと大きく違うところだと自負しております。

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