以前のブログに、JALの再建に尽力した稲盛和夫氏について書きました。
今回はその続きです。
この方の「徳」をベースとする経営哲学は有名ですが、決算書を本当に読める経営者としても有名です。
そのことを示すエピソードを新聞記事から抜粋してご紹介いたしましょう。
(下記抜粋)
『日本航空(JAL)名誉会長の 稲盛和夫(81)が、経営の要と考える月1回の会議がある。
業績報告会。
約30人の役員が1人ずつ稲盛の前でその月の予定、実績、来月の見通しを説明する。報告を聞きながら、稲盛は細かい数字がビッシリ書き込まれたA3の用紙をなめるようにして読み、次から次へと質問を繰り出す。
答えられない本部長には容赦のない叱責が飛ぶ。
執行役員運行本部長時代の植木義晴(現社長)もやり玉にあげられたことがある。
「(パイロットが使う)ヘッドセットの修理代が増えとる。なんでや」
「・・・」。
植木は答えられなかった。
「それでよく1400人のパイロットを束ねられるな」。
稲盛の顔にはそう書いてあった。
稲盛の手元に集まるA3の紙は毎月80~100枚。
それを81歳とは思えない集中力で読み込み、他の役員が見逃すような「ほころび」を見つけ出す。
会議を始めた2010年の5月には、答える側が「全滅」だったので、終了まで3日を要した。いまでも1日半はかかる。
費用が増えた理由を「月ズレ(前月の計上が間に合わなかったので今月の支払いが増えた)などと説明しようものなら「業務プロセスがなっていない」とコテンパンにされる。
蜂の巣にされたくない役員たちは、会議の前に入念に情報武装する。おのずと現場の事情に精通していった。
10年2月に会長になった稲盛はまず空港や営業所などの現場を回り、その後、全子会社の社長役100人と面談した。
1人1時間で朝9時から夕方6時まで。
週末込みの2週間、ぶっ通しで話を聞いた。
細部をみなければ全体は見えない。
五十余年の経営歴でたどり着いた境地だ。
「それにしても、何であんな細かい数字を見つけられるのですか」。
植木は社長になってから聞いてみた。
稲盛は笑いながら答えた。
「おこしなところはな、向こうから数字が目に飛び込んでくるんや」
「ああ、あれか」。
パイロット歴34年の植木には思い当たることがあった。
ベテランの域に達したある日、無数の計器に囲まれたコクピットの中で、異常な数値は探さなくても目に飛び込んでくるようになった。
だが新米社長の植木は資料を見ても数字が浮かびあがらない。
細かい数字から経営の問題点を言い当てる稲盛を見て思う。
(抜粋ここまで)
名経営者は、やはり「数字に強い」ということがよく分かりますね。
ちなみに、孫正義社長も決算書の読める経営者だそうです。
自社の経理を税理士や会計士に代行で頼んでいるようでは、やはり経営者としては失格といえるのではないでしょうか。
わたくし達のビジネスゲームは、このようなビジネスに必須の「決算書を作れる」「決算書を読める」「決算書を活かせる」という3つのことをゲームを通して体感的に学んでいただくカリキュラムとなっています。
このような経営者やビジネスパーソンが1人でも増えれば、日本はまだまだ成長しますよね。