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自己創設のれんとは何なのか?

前回の記事でクリーン・サープラス関係について書きました。

そのとき、「自己創設のれん」という用語がでてきましたね。

自己創設のれん」とはなんぞや?

そう思われた方もいるでしょうから今回は、その解説を簡単にしたいと思います。

 

自己創設のれんとは一体なんなのか?

簡単な例で説明すると、例えば、事業用固定資産を第1年度の期首に100で取得し、この資産から得られる期待キャッシュ・フローを経営者が、

第1年度40

第2年度30

第3年度35

第4年度20

第5年度15

と考えたとします。

このキャッシュ・フローを割引率4%

(加重平均資本コスト率)

で割り引いた割引現在価値は126.74となり、そして、取得原価100と割引現在価値126.74との差額26.74が自己創設のれんとなるわけです。

 

自己創設のれんは、事業用固定資産の取得時の時価(市場平均の期待価値)より利用価値(報告主体の主観的価値)の方が大きい場合、その超過額により算定されます。

100が取得時の時価であり、126.74が利用価値です。

そして、このような、自己創設のれんは資産計上が認められていません。

その理由は、このように、期待キャッシュ・フローで計算しているため、自己創設のれんの計上が経営者による自己申告・自己評価となるという点、また、リスクから解放されていない投資の成果、つまり、未実現利益を認識することになるため認められていなのです。

 

では、前回の記事でP/LとB/Sの繋がりについて、このクリーン・サープラス関係についてみていきその関係により投資者は適切な意思決定ができるということを確認しました。

 

今回、もう少し具体的に投資者は、P/LとB/Sを使ってどのように投資意思決定を行うのか?このことを確認します。

財務会計の概念フレームワークでは下記のような投資意思決定のモデルを(フィードバック・アプローチ)採用しています。

第1段階:将来の利益を予測(B/Sを利用)

第2段階:実際の利益を把握して、これと

当初の期待した利益と比較することにより、

当初の期待を改訂する(P/Lを利用)

 

このように投資者は2段階によるプロセスを経て投資意思決定を行うと考えられています。

では、この点についてもう少し具体的にみていきましょう。

 

第1段階の(B/Sを利用する)という点です。

まず、B/Sを利用して将来の利益を予測します。

この将来の利益の予測における方法には次の2つがあります。

第1法:企業価値を評価し、将来の投資の成果(利益)を予測する。

具体的には

①投資者は、過去の利益と資産を組み合わせることにより将来CFを予測する。

②投資者は、その将来CFを割引いて自己創設のれんを評価し、資産価値を算定する。その資産価値を合計することにより企業価値を評価する。

③最後に、投資者は、その自己創設のれんから将来の投資の成果を予測する。

 

第2法:投資者は、株主資本から直接的に将来の利益を予測する。

このような形でB/Sを利用することにより将来の利益を予測するんですね。

では、上記の第1法をピックアップして、具体的にどように考えて将来の利益を予測するのか、ちょっとその計算例を簡単に示しましょう。

<資産価値から将来の利益を予測する方法>

<計算例>=上記第1法

(例)前期の実績情報が次のとおりである。

・事業用固定資産への投資額40億円

(耐用年数10年)

・事業用固定資産から獲得された前期

の営業利益は2億円

①将来キャッシュ・フローの予測

投資者は、このような過去の利益情報から将来のキャッシュ・フローを予測する際、景気の好転などによる収益性の増加(5割り増し)も考慮し、将来の営業利益に相当するキャッシュ・フローを30億円と見積もったとします。

<計算方法>

・前期実績に基づく耐用年数全体の営業利益20億円(2億円×10年)

・収益性の増加を考慮した将来の営業利益に相当するCF30億円

(=20億円×1.5)

②のれんと企業価値の評価

次に、この将来のCFを割引いて自己創設のれんを30億円(便宜的に時間価値を考慮していないので、割引前も後も同じ額)と計算し、資産価値(企業価値)を70億円と評価した。

<計算方法>

・資産を1種類と考えて、資産価値と企業価値は一致する。

・資産価値(=企業価値)70億円

(=自己創設のれん30億円+投資40億円)

③将来の投資の成果の予測

最後に、投資者は、自己創設のれんから将来の投資の成果を3億円と予測した。

<計算方法>

・3億円=30億円÷10年(便宜的に時間価値考慮していない)

まぁ、ざっとですがこんな感じです。

なお、このような将来キャッシュ・フローの見積り計算は、減損会計でもでてきますし、管理会計(原価計算)における設備投資の経済計算でも出てきますよね。

簿記では、ただ電卓叩いて作成するP/LとB/Sですが、実はその裏にはこのような考え方が存在してるんですね!

ビジネスゲームでは、経営分析や投資意思決定のワークを通してこのようなことを学んでいただきます。

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