前回は、卵の購入と卵焼きの販売について
家計簿的に記録・計算するとどんな問題が
起こるのかを確認しました。
では、そのことを踏まえたうえで今回は
簿記による「複式記入」によった場合はどう
なるのかを確認します。
4.簿記を使って記録・計算してみる
(単式簿記+複式記入+現金主義)
⑴すべての取引を3つの要素に分けて記録する
単式(一式)簿記
まず、ここでは全ての取引を①資産、②負債、
③純資産という3つの要素に分けて記録をして
いく「単式(一式)簿記」の記録方法でみていきます。
お店や会社は、営業資金を出資や自己資金
(③純資産に分類)もしくは借入れ(②負債)で
調達し、それを事業投資に回し運用します(①資産)。
このため、3つの要素に分類し、それぞれの金額を
計算して1枚の報告書にまとめれば、財産の状態を
知ることのできる「貸借対照表」を作ることができます。
⑵取引の原因と結果を一度に記録する複式記入
前回の記事で家計簿では、問題点①として卵は
記録の対象となっていないことに言及しました。
これは、家計簿が現金のみの動きを記録する
「単式記入」という方法をとるためです。
取引の例では、卵を100円分購入し、そのうち
50円分を使って卵焼きを作って販売しています。
また、残り50円分は使われずにそのまま残って
います。
このような状態において、「家計簿」による
「単式記入」の場合、「現金の出入り」しか
記録の対象としておらず、「卵」がどうなったのか
の追跡記録は行いません。
これに対して、「取引の二面性」を一度に
記録する「複式記入」という記録方法によるならば、
お金の出入りだけでなく、購入した卵も記録の対象
となり、「卵が最終的にどうなったのか」追跡して
記録をすることができます。
上記のように、複式記入によれば、
お金(現金)だけでなく、卵についても
増えたのか、減ったのかを記録すること
ができ、
お金だけでなく、購入した卵についても、
いくら分を消費して卵焼きになったのか、
いくらの分の卵が残っているのかを把握する
ことができます。
以上、これが「簿記で左右同時に記入する」理由
となります。
では、次回、取引例を使ってこのことを確認して
みたいと思います。