「5分で学ぶ」シリーズ過去記事
前回まで、「決算書を活かす」というテーマを背景に、
「総資産利益率」の計算方法とその数値の意味について確認しました。
しかし、本当の意味で総資産利益率の数値を理解し、会社経営上
どういう意味があるのか、ということを理解するためには、
「決算書の数字がどう作られるのか?」ということを理解しな
ければいけません。
「なんだ、面倒くさいな。そんなの税理士に任せているよ。」
そう思われる経営者の方もいらっしゃることでしょう。
しかし、ちょっと待ってください。
例えば、次のような「決算書の数字」を基にして
総資産利益率が算定されている場合、経営上、どんな意味を
有するでしょうか?
【損益計算書】
売 上1,000
売上原価800
売上総利益200
販管費210
営業利益△10
営業外収益0
営業外費用0
経常利益△10
特別利益110
特別損失0
当期純利益100
上記の損益計算書に対して、仮に貸借対照表の総資産
が1,000だとすると。
「当期純利益100÷総資産1,000=10%」
と計算されます。
そして、仮にこの数値が「業界平均よりも高い」数値だとして
本当にこの会社は業績が良いのでしょうか?
上記の損益計算書をみると、確かに最終の利益である「当期純利益」
は+100ですが、「経常利益」や「営業利益」は損失10となっています。
これは「会社経営上」何を意味するのでしょうか?
確かに総資産利益率は10%と高い数値を示しています。
(なお、日本企業の全業種平均は4%程度)
しかし、その数値算定の基礎となる「損益計算書」の数字を
みると、どうもおかしい。何か違和感があると思いませんか?
そう。つまり、経営分析の知識をつけて、決算書の数字だけで
表面上の各種分析指標の数値を出しても、その基礎となる
「決算書の数字の意味」が分からなければ、本当の意味では
分析できないのです。
このため、経営分析の数値を本質的に理解するために
「決算書の作成原理」の基本を理解する必要があるわけです。
では、次回、その「作成原理」について解説します!