「5分で学ぶ」シリーズ過去記事はこちらをご覧ください。
1.経営数字に強くなり、伸び代を高める
2.総資産利益率はビジネスの本質
3.総資産利益率を分解する
前回まで、「決算書を活かす」というテーマを背景に、
「総資産利益率」の計算方法とその数値の意味について確認しました。
そして、そのうえで、では肝心な「決算書はどうやってできるのか?」という
ことを理解しておかないと、本当の意味で出てきた数値の意味は分からない
ということについて書きました。ですので、今回は「決算書の作り方」について
みていきます。
まず、「決算書の作り方」と聞いて思い浮かべるのは
・なんか小難しそう
・それは経理担当者や税理士の役割でしょ
・え〜簿記なんてしたくない
ですが、そんな心配はご無用です。
企業会計による決算書は「簿記」という帳簿記帳の技法を使って
作成されますが、実はこの技法は世界共通なのです。
複式簿記が日本で本格的に採用されたのは、明治時代に入ってから
であり、大蔵省の招きにより銀行簿記の講義をしたイギリスの紙幣
頭書記官アレキサンダー・アラン・シャンドが明治6年12月に刊行
した「銀行簿記精法」が、日本に初めて紹介された複式簿記とされ
ています。
なお、翌年、福沢諭吉がアメリカから持ち帰った専門学校の
テキスト「Bryant and Stratton’s Common School Book-keeping」を
翻訳して「帳合之法(ちょうあいのほう)」を出版し、この2つが、
日本への複式簿記伝播の経緯とされています。
このように世界に広まった「複式簿記」ですが、原理自体がカンタン
であるため、世界に広がったという要素があります。
では、その「原理」とはどういうものか、ご説明したいと思います。
では、「複式(二式)簿記」を説明する前に、「単式(一式)簿記」
について説明したいと思います。複式を理解するためには単式の理解が
不可欠だからです。
単式(一式)簿記は、会社の取引を①資産、②負債、③純資産の
3つの要素に分類し、記録を取っていく方法です。
この3つの要素の記録により、「貸借対照表」という決算書を
作ることができ、「財政状態」を知ることができます。
会社はまず、活動するための資金を調達しますね。
その調達先において、借金した場合を②負債に分類し、
自己資金や出資の場合を③純資産に分類します。
なお、両者の違いは「返済義務の有無」です。
次に会社は集めた資金を事業投資に回します。
商品や、建物・備品などを購入しますが、資金の
運用形態のことを①資産と分類します。
以上、単式(一式)簿記では、会社のすべての活動を
①資産、②負債、③純資産の3つに分類するということを
まずは理解しておいてください。
次回、3つの要素に分類した後に、「帳簿にどのように
記入するのか?」という記帳方法について説明します。